【2.三重県】知らないままの喫茶店

「30代後半オカンひとり旅」は、ホームである滋賀県を基点に毎月1都道府県を旅し、40歳までに47都道府県制覇を目指すライフイベントである。仕事や家庭がある中、あえて一人旅をすることを楽しむ。2025年6月からスタートし、この度第2都道府県目をクリア。

長野県に続いて「三重県」に行くことにした。理由は、行き慣れていたからだ。今月は宿泊を伴う日程が確保できず、日帰りができそうなところ……と日本地図を広げて目に留まったのが、三重県だった。

さて、私は「二見」の常連である。二見とは、鳥羽よりも少し北にある”夫婦岩”で有名な地。ここにある”伊勢シーパラダイス”の何とも言えない雰囲気(訪れたことがある人には伝わるのではなかろうか)が好きなのだ。もうこの十数年で5度ほど訪れている。今ウェブサイトを見たら、なんだか小洒落ていたが、もっとこう、なんというか、なんというかだったのだ10年前は。
伊勢にも数回訪れている。例に漏れず、伊勢神宮は素晴らしい場所だと思う。鳥羽水族館も真珠も赤福も。あの方面には行き慣れている。

しかし今回の旅行先は伊勢志摩ではない。未開の地がある。「津」だ。
県庁所在地でありながら、三重県観光でほとんど候補に上がらない、津。小学生の社会科の授業で必死で覚えた47都道府県の県庁所在地。当時の私は「大津」と「津」は友達だと思っていた。未だ何があるのか知らない「津」で、今私が住む「大津」との関係性を探る……これが今回の旅の目的である。えっへん。

ひとり車に乗り込み、カーナビに目的地「津」を入力し、ここで初めて津市までの経路を確認する。下道でも2時間ほどで行けるらしい。私は一応夫から”高速道路走行禁止令”を出されているので、下道移動が基本だ。下道の方が景色も豊かだし、この令に文句はない。ただ、たまに間違って高速道路に進入してしまう。今回も最後の最後でしくじって迷い込んでしまった。なぜそんなことが起こるのかというと、私がどんくさいことに加え、新車購入時から更新されていないナビのまま生活しているからだ。娘には「いい加減更新しなよ」と言われている。私はいつも「わかっちゃいるんやけどね」と返す。
今日はそんな小言をいう娘も助手席にはいない、ひとり旅だ。ひとりの運転は気楽だ。好きなラジオや好きな音楽をかけ放題。この日のBGMは”大滝詠一”、アルバム1曲目の『君は天然色』からスタートする。

結局、津市へは1時間半ほどで着いた。時間は10時過ぎだ。津駅の周辺に県庁や市役所、公立のミュージアムがぎゅっと集まっている。メインストリートは片道4車線で、意外と広い。県庁前の通りの名称なんて”フェニックス通り”、強そうだ。意外と車社会なのだろうか、駐車場も充実している。歩くとなるとちょっと遠いし、真夏の旅にマイカーは、いい選択だったかもしれない。

さて私の旅の定番、まずは公立の博物館へ行く。○○県立博物館とかいうそこでは、その地域の文化・自然・産業・歴史などが網羅されており、ここを経て目的地に向かうと、より味わい深く楽しめる……というのが私の持論だ。
三重県立博物館はMieMu(みえむ)という愛称だそうだ。『地獄へようこそ』という興味をそそられる企画展の看板やポスターがそこかしこに掲示されている。わくわく入ったが、企画展は2日後からだった。旅で訪れたミュージアムで遭遇する”あるある”だ。企画展は残念だったが、常設展で1時間かけてゆっくりと三重県について勉強した。

「三重県の人口は1,854,724人……全国で22番目に多い」
「三重県の面積は5,761.59㎢……全国で25番目に広い」
「三重県の女性の平均寿命は85.58歳……全国で30番目に長生き」

うん、三重県は物事の捉え方がポジティブな県のようだ。
他にも、スナメリは伊勢湾で一生を過ごすこと、”ソハヤキ”という動植物分布があること、伊勢商人の丁稚奉公は6年も実家に帰れないこと、お伊勢参りを支えた”御師”という事業者たちがいたこと……36年間生きてきて、まだまだ知らないことだらけだ。

三重県について粗方の知識を得た私は、昼食を取ることとした。そして近くに見つけた店の名が”魔愁”、読みは”ましゅう”。聞き慣れない言葉、見たこともない字面である。真っ黒の服を着て魔女狩りだとかサバトだとかの本を読んでいたJKだったので、「魔」という漢字に吸い寄せられるようにその店のドアを開いた。……

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