【10.茨城県】葡萄の枝コレクション

「30代後半オカンひとり旅」は、ホームである滋賀県を基点に毎月1都道府県を旅し、40歳までに47都道府県制覇を目指すライフイベントである。仕事や家庭がある中、あえて一人旅をすることを楽しむ。2025年6月からスタートし、この度第10都道府県目をクリア。

早くも第10都道府県!記念すべき回は山梨県だ。
先月に引き続き3月も関東でお仕事をいただいたので、関東近辺を見繕ってみた。ひとり旅を毎月続けるのは金銭的に大変だけれども、こうやって縁を紡いで細々とやっていけている。有難い。

生まれて初めての山梨県だ。滋賀県と同じ海なし県として有名(?)。県庁所在地は甲府、盆地で富士山があることと、桃やぶどうなどの一大産地であること。そんな、小学社会科程度の知識しかないスタートである。
知識というのは多ければ多いほど良い……こういう時ほどこの言葉が頭に浮かぶけれども、やっぱり知識がないからこその楽しみもあるわけで。旅をするたびにこうやって矛盾を行き来して、いったい何がセーカイなのか、ますますわからなくなるわけだ。

そんなわけで、今回はエッセイの趣向を変えて、旅全体を時系列で追ってみたいと思う。

出発は朝の8時ごろ、トーコーキョヒの娘とやりあっていたら遅れた。京都駅で買ったいつもの新幹線コーヒーは、今日は「こだま」だ。
今回は静岡で降りるので、新幹線も「こだま」に乗ってみた。指定席はほぼ満席で見知らぬ誰かの隣しか空いていなかったので、どきどきしながら自由席号車の待機列に並んでみる。こだまが到着。車内はガラガラ。好きな席に一人で座って、PCを出して電源も確保。
動き出した車窓の景色を眺めながら、思わず想像する。わざわざ指定席を購入して窮屈な顔をしている人たちが、同じ列車にいるんだなあ。今日までの私だって、窮屈な顔をしていたのにだ。そうやってすぐに優越感に浸る。
指定席を取らないと新幹線は座れないと思い込んでいた。ところがどっこい。自由席の方がまさに自由だなんてこともあるらしい。座れる保証はないけど。

さて、静岡駅で方向転換。「特急ふじかわ」に乗って甲府駅へ向かう。特急列車の旅はおよそ2時間。静岡駅始発の特急は、指定席だが空いていた。

空は快晴。しばらくすると右手に富士山が見えてくる。これが富士山かあ。大きいなあ。そりゃ確かに、広重も北斎も描きたくなるわ。
嬉しくなって、持参したお弁当を開ける。ちらし寿司とスナップエンドウのマヨネーズ和えを、使い捨てのランチボックスに詰めたもの。夕飯の残りではあるが、春らしいメニューだから持ってきたのだ。ランチボックスを包んだ風呂敷は、娘が幼稚園の時に書いたウサギの絵がプリントされたやつ。かわいいうさ耳を付けてぴょんぴょん跳ねていたあの頃、『きょうのおべんとなんだろな』を何度も読み聞かせたあの頃。思い出のわが子は、最近、どんどん大人に近づいていく。
お弁当を食べ終わるころには、もう富士山は見えなくなっていた。静岡から、山梨へ入る。あっという間だ。

今回の旅の目的地は、甲州・勝沼だ。……

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